慣性振動


回転系の水平面内に拘束された質点に外力が働かないとき, その質点は円運動をする. これを慣性振動という. つまり慣性振動は,慣性系における等速直線運動と同じくらい, 回転系では自然な (当たり前な) 運動である.

大気や海水が慣性振動するとき, 広い範囲の流体が 同じ位相で振動し, 流体の各部は,お互いの相対的な位置関係を保つ. 海に浮かぶ船が慣性振動したとしても, 島などがない限り, 自分が振動していることには気がつかない.

流体の方程式の解として, お互いのまわりを回る運動 も可能ではある. しかし, これは高気圧回転でありながら, コリオリ力と遠心力が釣り合って, 圧力勾配のない流れである. そのような流れが北極にできたとして, それを地球の外から眺めると, 地球の自転と同じ速さで, 地球とは逆に回るという すさまじい流れになる. 現実の大気や海洋で大規模にこのような流れが 出現することはまずない.